朝・・・か

ヤニ臭い部屋で「寝付けないかも」と不安に思っていたが疲労のほうが勝ったらしく、殊の外グッスリ眠ることが出来た。
しかも、ひと晩この部屋で寝たら臭いに慣れてしまった。あまり「臭い」と感じないぞ。
シャワーを浴びる時に腰、トイレでは股間に痛みを感じる


特に尿道の痛みが酷い。可能な限りトイレを我慢したいレベルだ。
『ヒザが痛くないのは救いだが、果たしてカラダ保つかしら・・・- -;』
●6:00a.m、あさイチの朝食会場は思ったより人がいた
『作業着姿の人が多いぞ

海沿いの安ホテル、旗日といえど利用客の多くは僕の様なレジャー客ではなく「海の男」。
いいな、カッコイイ。
●さて、今日の行程だが・・・
若狭国舞鶴の宿を発ち、山陰道を海沿いに西進、因幡国(!)鳥取に至る旅となる。
走行キョリは少なく見て160km。
途中、「天橋立」「城崎温泉」「山陰ジオパーク」といった、公私とも一度も訪ねた事がない場所を通るのがとても楽しみ

●因幡国(イナバノクニ)・・・(*v.v)。。
ここもシゴトで訪問して大好きになった地域で、ポタで来るのは初めてだ

まさか大名古屋~あの場所までチャリで移動してくるなんて、あの頃の僕は想像もしてなかったなあ。
●でもまあ、よくよく考えてみれば「十分来れる」んだよな
たしかに一見遠いけれど「月に行く」みたいに物理的に不可能というものではない。
もしかすると「困難」ですらないかも知れない。
話をちょっと飛躍させれば、多分、僕でもBROMPTONくんで地球一周できる。
これ、チャリに乗れてある程度寿命が残っている人であれば、多分誰でもできる。
要件はたった一つだけ。
「やる」という意志が有るか無いかの違いだけだ。
地球1周40,000kmとして、BROMPTONくんで毎日100km走れば400日で走破出来る。
まあ、海もあるから実際の「道」での一周がどのくらいか判らないが、仮に1.5倍(キョリ60,000km)なら600日。
3年かければ十分に見聞を広め、ヒトとしてひと回り成長して帰還できるんじゃないだろうか


そんな事を考えて少しワクワクしたりするあたり「気持ちはいつまでも若いなあ」と自分に感心したりする。
オラに力を貸してくれ!
⑥3日目前半(自分にがっかり、天橋立)
●東舞鶴のまちに漕ぎ出してスグ思う
やば、思ったほど脚が回復してない


筋肉痛もヒザ痛も無い。
ただ・・・
『なんか脚に力が入らないぞ

●建物の間から砕氷艦「しらせ(2代目)」が見えた
ああ、マジでカッコイイ


昨夕からこの艦を見れただけで、舞鶴に来た甲斐があったというもの。
行く手を阻む厚い氷をカチ割って自身の道を啓開する力強さを・・・僕に与へ給へ・・・!!
●・・・ダメッ


東舞鶴と西舞鶴の間の他愛もない丘陵を登り切れない


歩道に降りて、BROMPTONくんを押してノタノタとのぼる


なんだコレ、やばいな・・・。
『5kmも走れず、地球1周がどうとかマジ笑える~


しかし、西舞鶴市域をゆっくり進む間に、徐々に脚に力が入る様になってきた。
カラダがあったまってきたらしい。
●舞鶴市街地の出口は峠になっていた


チョイしんどいが、このくらいならBROMPTONくんから降りずに越えられそう。
その先、しばらく下り坂が続き・・・
●おおー

「緑」、だ。
今の時期の水稲にしちゃ随分丈が低く青々としているが、それが何なのか僕には判らない。
とにかく、キレイな景色

古い家屋も現役らしい。
おじいちゃん・おばあちゃんの集落って感じ。
夏休みに遊びに来たい

集落の奥の堤防は新しく、道もとても気持ちいい

その先に・・・
●吊り橋が見える
あの橋から対岸に渡りたくて、幹線道路を通らず遠回りのこの集落を走ってきた。
「ブイーン!!」
モーターボートが滑走して上流へ向かってゆく。
エンジン音はすぐに消え、集落は再び静寂に包まれる。
●いつもの調子が出てきた

幹線道路に合流して海の方向を目指す。
ほどなく日本海へ出ると思う。
・・・おや、あれは?
●あっ

『ドライブイン ダルマ』

しかし、現在時刻07:23にオープンしている「ドライブイン」に違和感を覚える。
もしや、これは・・・
●やっぱり

オートスナック

●オートスナック【的】な場所であれば・・・

2018年4月に岐阜県山県市の「レトロミュージアム」という場所に出かけている。
しかし、あれは稼働中の自販機を集めた「ミュージアム」。生きているオートスナックではない。
ついこの前、秋田の1軒が廃業になるという話題が全国ニュースになったくらいだ。
おそらく全国にもう殆ど残っていないであろうオートスナック。
まさか、突然こうやってお目にかかるとは・・・


これも巡り合わせか。
早速動画を撮って、珍スポ旅ツレのYにLINEする。
その間、地元の方らしいのが2組ほどやって来て、手慣れた様子でうどんを啜っていた。
常連さんがけっこういるんだな

ご興味ある方は早めに訪れていたほうがいいかもだ。
●しばらく進むと、なんかいい感じの鉄橋が見えてきた
川面から少し高いところを水平・一直線に延びる橋。
調べてみると由良川橋梁といって鉄道写真スポットとして有名な場所らしい。
そうか、この川が「由良川(ユラガワ)」か。
子どもの頃覚えた百人一首の歌の中で今でも諳んじられるものの中に、この川に纏わるものがある。
「由良のとを 渡る舟人 かぢをたえ ゆくへも知らぬ 恋の道かな」(*v.v)。。
これ、河口の歌だと思うし、由良川の中でもまさにこのあたりの当時の模様を歌ったものかも知れないな・・・

●やがて、案内表示が出てくる
僕は若狭国から丹後国(タンゴノクニ)に入っていたようだ

そして、ついに「天橋立」の文字が!
●道は海岸地形に入っていく
く・・・
この先、多少のアップダウンは覚悟しなければならなそう。
●なかなか疲れる


狭い駐車場の隅にBROMPTONくんを停めて小休憩



・・・ん?
●安寿ロマン海道



安寿とか海道についてはよく判らないが、大正浪漫詩人・薄田泣菫(ススキダ キュウキン)の詩にはそこはかとないロマンを感じる。まるで、往時の様子が浮かんでくるようではないか(*v.v)。。
箱馬車か・・・荷役用の馬車・ロバ車であれば東欧やモロッコでフツーにふれあってきたけど、「観光用じゃない箱馬車」はさすがにもうどこの国でも運用されていないだろうなあ。
もし、あるなら乗りに行ってみたいなあ。
特に、この詩にある様に、夜、ランプの灯を頼りに走る箱馬車に乗ってみたい。その時、夜霧が出てきたりしたら最高だな。御者は大変だろうけど。
・・・まあ、ロマンなんてものにかぶれると、ヒトは一般的でない行動に走る様になるんだろう。
●ロマン海道はしばらくつづくようだ
それほどアップダウンがないのに救われる。
昔からの漁村らしいのもある。
ひなびた、いい感じの集落

海沿いらしい建築の旧家。
旅気分を演出してくれる旧い家屋に住み続けられる方や職人さんに何かしら補助が出る仕組みがあればいいのに。
あるいは僕みたいにマンションに住む人間の税金を上げれば、地域色ある家に住む人がグッと増えて、僕の様な旅人が見る景色はもう少し楽しくなるかもだ。
ただ、僕が旅に出られる回数はちょっと減っちゃうかも知れない。
●海に面した鳥居があった
お社は陸側にあり、近江国の白髭神社と同じようなものだろう。
「この集落、なんかいいな・・・

ベンチに座り、行動食のグミをつまみながら小休憩していると、通りにチリンチリンと鐘の音が響いてきた。
●托鉢僧

久々に拝見した。
これも、いつの日にか「最後の托鉢僧」なんていうのが出てくる時代になるんだろうな。
●集落から山をひとつ越えて丹後国・宮津(ミヤヅ)に到達!
たしか、天橋立があるのはこの地区のハズだ

どこか、古の街道の面影を感じさせる道。
「浜街道」という道だったらしい。
●おっ!
「日本三景」の一つの割に、つつましやかな案内板。
進んでみよう。
●突然、通りの両側が立派になり始める
ははあ、どうやら天橋立の「門前町」か

●そして、この橋を渡ると天橋立

ついに来たよ、いやあ、楽しみ

●こんな画が見れるだろうか!?
(LINEトラベルより)
股を通してみるとかなんとか、遊べるんだよね、たしか
しかし・・・
●・・・あれ?
・・・なんか、事前のイメージと違い過ぎる感じ・・・

その理由はスグに判った。
●バカか!
まさに「見下ろそう」とする場所に真っ先に行ってどうすんだよ


バカバカ



しかし、今から高台に登るには体力も、時間も不安だ。
●・・・まあ、いいさ

今日、出来る範囲で楽しもう。
せっかく、目の前に天橋立の砂州があるんだし、当然、走破するべきだろう。
砂州には松並木があり、人間に対して挑戦的な姿勢をとる者もいるようだ。
アタマをぶつけたら1208Ptsくらいのダメージをくらいそうなので、慎重に進む。
まあ・・・何はともあれ、来れてよかった

ポタ旅で残す日本三景は「宮島」となった。
この旅の無事を祈念し、天橋立神社にお参り(*v.v)。。
御朱印がほしいところだったが、御朱印所、神職、巫女さんいずれも見当たらない。
●のんびり散走して20分弱
砂州の対岸側から陸地に戻る。
現代であれば色々な工法で特殊な地形にも見慣れているけれど、近代以前の人にとってみれば、天橋立はやはり好奇心を刺激される「ここだけ」のユニークな地形だったろね

●対岸に立派な松並木の「天橋立」を眺めた
見下ろせなかったのは残念だけど、大満足

●時刻は9:20
いやあ、マズイ。
前から興味津々だった「城崎温泉」が接近しており、気分はアガっている。
しかし、目的地まで少なくとも135㎞残している

巡航速度15km/hで休まず進んだとしても9時間・・・- -;
ブロンプトンマスターだと、この状況でなお「観光」であちこち立ち寄ったりしているワケだが、僕はやはり走り切るだけで精一杯か。
いや、それどころか「走り切れない可能性」も??
・・・この後、やはり160kmというキョリは、容赦なく僕に襲い掛かってくるのだった。
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