●9月のある日、YからLINEが入った

Y:「そろそろ涼しくなってきたので珍スポに行きましょう

暑い夏の間はお休みだったYの珍スポ探検がシーズンインしたらしい。

Y:「次の探検先は・・・」

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KOU:「・・・ハニベ岩窟院!」

それは石川県にある有名な珍スポット。

前から訪ねてみたいと思いつつも、ちょっと遠い事もあって後回しにしていた場所であった。





●・・・と、いうわけで
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木曜日に休みをもらい、石川県小松市までやってきた。

名古屋から3時間、あいにくの雨空の下、遠くに大きな大仏が見える

そして僕等の目的地・ハニベ岩窟院にも大仏がある筈だ。

ここは『大仏』が多い地域なのかしら・・・






●・・・と
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Y:「あ、看板見っけ!」

KOU:「ん?」






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KOU:「究極の地獄めぐり!」

『地獄めぐり』は数あれど、『究極の』ってのは初めてだぞ。

これは期待できそうだ






●Y:「あれ?ナビ通りに走ってるのに???」
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それなりの規模の施設に向かっているのに、道はどんどん細くなって民家に突っ込んでいく。

挙句の果てには・・・






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なんだこりゃ

しかし、目的地はここから近いハズ。

Uターンして住宅地の道を走っていると・・・





●あっ
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KOU:「あれは・・・!」

Y:「間違いない!」




●クルマを回してみると・・・
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そこには巨大な大仏のご尊顔・・・ただし、肩より上しかない

色々な珍スポガイド等で見るとおりの姿だ。

僕等が到着すると、寺前のお土産やさんからおばさんが出てきて、券売所に入っていった。

大人1名800円の入場料を払い、岩窟院の敷地へと入っていく。







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大仏のすぐ前で見上げると、なかなかの迫力だ。

Y:「大きい!螺髪(らはつ)1個1個もちゃんとしっかり着いてる」

・・・大仏さまのアタマのブツブツは『螺髪』っていうのか。難しいワードを知ってるんだな。

むしろ、そんな事に感心しながら大仏を見上げる。

こいつ、巨神兵みたいなサイズだぞ。







●「なぎはらえ」


『世界が燃えちまうわけだ・・・』

ビームを発射する大仏さまをイメージしながら中に入ってみると・・・







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中は小さな『地蔵』が無数に安置された庫だ。

「水子地蔵っぽい

ところどころにある小さなぬいぐるみやおもちゃを見て、Yが言った。

そういえば、道中の大きな看板の中にも『水子供養』という文字が書かれていたっけ。

整然と並べられた小さな地蔵はゆうに1万体以上あり、多くの人がここを訪ねてきた事を思わされる。

Y:「上への階段は・・・立ち入り禁止か」






外に出て、巨大な大仏さまを見上げて思った。

いくつかのサイトを見ると・・・

『胴体と合わせて高さ30mの大仏を造る構想で、

先に肩から上の部分を造り、その後は資金不足で頓挫した状態』・・・と書かれていたりするが、

大仏さまの中に入って構造を見る限り、この建物の計画はもともと現状の部分だけなんだろうと思う。

『・・・しかし、大仏さまの中がこれだけとは、いささか拍子抜けというか・・・』

Y:「KOUさん、MAPを」

KOU:「あ、ああ・・・」







●ここのMAPはとても見づらい
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Y:「今のところが水子堂?」

KOU:「いや、『大仏』と書かれているし、大仏は大仏じゃないかしら?」

「???」






●とりあえず進んでみよう
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大仏を出て左手の方を向くと、唐突にリアルな『像』が出現する。

ブロンズ像の様にも見えるが、ゲンコツで軽く叩くと『コンコン』と軽い音が響く。

樹脂製の像・・・?『風天洞』と同じにおいが漂ってくるような・・・?

その左側に・・・






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池に橋がかかり、参拝者を敷地の奥に誘っている。

この橋を越えて進むと・・・




●急に道が険しくなる
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地図では全くイメージ出来なかったが、ハニベ岩窟院は『山』そのものらしい。

その坂の入り口の所にあるこの建物が『水子堂』だ。

中に入ってみると、何段かの棚に、大仏の中と同じ小さな地蔵が無数に並んでいた。

そして、ところどころに子供用の服や人形、ラジコンなどのおもちゃが置かれている。

手のひらサイズの小さなホワイトボードに「●●ちゃん、ごめんね パパ・ママ」などと書かれていたりもした。

Y:「・・・」

KOU:「・・・」

そんな切ない室内の棚に、ブックカバーが付けられた本2冊を見つけた。

『文庫本・・・?』

手に取って開くとまさに文庫本で、「〇〇の夏」とかいうタイトルで、もう一冊も文庫本だった。

少なくとも小学生以下の子供が読む様なものには思えないが・・・誰の為の本だろう?

Y:「この水子堂、なんか違和感が・・」

Yもなんか不思議に思っていたらしい。

Y:「子供の服がちょっと大きいし、おもちゃも大きい子向けの様な・・・

 え?こっちには中学校の校章?」

彼女が見ている地蔵には、確かに中学校の男子の制服に付く校章入りボタンがついていた。

その地蔵が2つ並んでいる。

KOU:「中学校入学直前の子供ってこと?横に2つ並んでいる意味は・・・?」

Y:「兄弟2人亡くなった」

・・・それは、想像するだけで辛すぎる。

Y:「でも、それって水子っていうかしら??」

KOU:「そこですよ」

僕等は水子というものは出産前に亡くなったり、出産直後に亡くなったりした赤ちゃんと認識していたが、

その時調べてみたら、生まれた後幼くして亡くなった子供についても水子として慰める事があるようだ。

この寺院では、中学生ぐらいの子供まで水子として供養しているのかもしれない。

そもそも、『水子』を弔う文化というものは古いものではなく比較的新しいものであり、解釈も多様らしい。

とにかく、いたたまれない気分になり、お堂の中の観音さまに祈りを捧げて出口へ向かう。






●しんみりした気分でお堂を出る・・・

なんだこれは。珍スポを訪ねて来た筈なのに、珍スポらしくないぞ

Y:「とりあえず、先に進みましょう

よく判らない地図を見ながら先に進むと・・・





●坂の途中に大きな岩が見えてきた
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参道から外れた茂みの中にあり、足元はぬかるんでいる。

Yは茂みに入るつもりは無い様なので、僕だけで見に行くと・・・






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大きな石の割れ目に小さな祠が設置してある。

ははあ、これはどっかの案内板に記されていた珍萬系の女性器の奇岩だろう

位置関係として、萬子岩の下方に水子堂が配置されているとかいう話だったからな・・・。

こういうのが出てくると、にわかに『珍スポ臭』が漂ってくるというものだ。







●Yに状況を報告して、坂をさらに登ると・・・
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巨大な岩スレスレに建築された古い家が出てきた。

Y:「住職さんのお住まいかしら?」

中に入れる感じではないが、崖にへばりつく様な形で建てられている古い建物で、なかなか見応えがある。

さらに先に進むと・・・





●おおっ
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突然、開けた場所に出た。

Y:「え?ゾウ?ライオン?なんで突然???」







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KOU:「『赤い人』や『おじいさん』もいるぞ

これらの像については、何の説明書きもなく、なぜここがこうなっているのか全く分からない。

この画面の左手にはさらに資料館の様なものがあって、先に続いているようだが、

僕等の目を引いたのは・・・




●洞窟
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いや、これが『岩窟』か。

近づいてみると・・・






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おお~、なんかすごい感じだぞ

そうか、ここからが『ハニベ岩窟院の本番』というわけか!



次回、ハニベ岩窟院の圧倒的実力が明らかに

『地下空間篇』!