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『中千本』周辺の町が動き出すのはたくさんの観光客が上がってくる9時頃なんだろう。

このあたりにはその頃に戻ってくるとして、ここより上の『上千本』、その更に上の『奥千本』を目指す。

ソメイヨシノはまだつぼみの状態だが、早咲きの桜は咲いていた。エドヒガンザクラかな?














●大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)
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吉野山は世界遺産に登録されているが、その構成要素のひとつが「大峯奥駈道」だ。

ユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』は吉野、熊野、那智を拠点とする修験道・山岳信仰の

霊場およびそれを結ぶ古道が評価されたもので、大峯奥駈道は熊野と吉野山を結ぶ経路だった。




















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目的地の金峯神社まではおよそ5kmちょっとあるが、出だしから非常に急な坂道が続く。

熊野古道の最難所『八鬼山』や、東海道の最難所『薩田峠』を思い出すキツさだ。

大峯奥駈道は、1000年の昔から、数ある古道の中でも『厳しい道』として有名だったらしい。





















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急坂にへばりつく様にして縁側を貸し出しているお茶屋さん。手軽に食べられる手巻き寿司などもある。

きっと、このあたりのおうちは1000年以上昔から同じ様に旅人相手の副業を生計の足しにしてるんだろう。

早速休んでいきたくなるが、歩き出してまだ10分も経っていない。



















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後ろを振り返ると、町からだいぶ上がってきた事がわかる。

後方のおばちゃんたちのトレッキング集団に追いつかれたくなくって急ぐのだが、なかなか引き離せない。

激坂は果てしなく続く。



















●?地蔵
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おばちゃんたちはだいぶ引き離したが、油断は禁物。とにかく、呼吸がしんどい--;

1つの激坂を上りきったトコで彼女たちから見えない位置に隠れ、ひざに手を当てて息を整えていると、

地面にへばりつく様に佇んでいる小さな祠に気づいた。




左側の字は『導』に見える。

右側の字はくだけすぎていて読みにくいが『蔵』かな。

『導地蔵』(みちびき地蔵)・・・?

案外、右側の字が『恋』で、右側から読んで『恋地(蔵)尊』だったりして。

どっちにしても、迷える僕を導いてくだされ。





















●水分神社
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さらに激坂を10分ほど上ると、家の屋根に雪が残るエリアに入ってきた。

その先にようやく見えて来たのが水分神社。

ここは世界遺産に指定されている神社だ。


















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山門をくぐってみると・・・

僕も今までそれなりの数の神社を見てきたけれど、かなり珍しい造りの建物に思えた。

パンフを手に入れられなかったので詳しい事はよく判らないが、

現在の建物は1605年に豊臣秀頼が建立したのものだ。



















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ここの祭神は『天之水分大神』(あめのみくまりのおおかみ)…いわゆる水神様。

子授かり、安産の神様でもあり、豊臣秀吉もこの神社に来てようやく秀頼を授かったという事だ。

秀頼がこの社殿を建立したのもそういう経緯からなんだろうね。



『水神様』の朱印はまだもらった事がなかったのでぜひ欲しかったのだが、

境内で対応してくれたばあちゃんの「神職がまだ来てないのですじゃ」という言葉に諦め、先に進む。





















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急な登りはまだまだ続く。

数百年前からありそうな供養塔。時代が時代なら僕も行き倒れだろう。

やがて、雪が降ってきた。




















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さらに登ると、ようやく鳥居が。

その先にまだ激坂が続く^^;

修験者ってスゲーな。



















●金峯神社
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吉野で最も高い場所にある神社。ここも世界遺産だ。

祀られているのは金山毘古命(かなやまひこのみこと)という地主神。鉱山の神様らしい。

神社の名前からも想像出来るが、この辺りには古来“黄金の金脈”があると信じられていて、

宇治拾遺物語にも「吉野で黄金を手に入れた」という話が残っているという事だ。



それにしても、フツーなら桜吹雪の時期に、ただの吹雪とは・・・--;



















●義経の隠れ堂(蹴破り堂)
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神社の近く、ちょっと下がったところにあるお堂を『義経の隠れ堂』という。

ご覧の通り格子窓らしきものが無く、扉を閉めると真っ暗になる。修行用のお堂だ。

吉野に落ちてきた義経はここに隠れていたが、追っ手が接近した為、天井を蹴破って逃げたという逸話を遺した。



・・・さて、帰りは先ほどの鳥居の前からマイクロバス(400円)で竹林院まで送ってもらう事に。

1時間30分ほど登ってきた道とはちょっと違うルート通り、バスは20分ほどで送り届けてくれるのだ。




















もう10時という事もあり、中千本の一帯は観光客で賑わい、店も開いている。

まだ巡ってないお寺がいくつかあるので、町の様子とあわせて楽しんでいこう。




















●善福寺
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お寺の人が一生懸命掃き掃除していて、とても感じの良い挨拶をしてくれるお寺。

境内に通してもらうと、何人かのおばさんが一生懸命大根の皮むきをしていた。

「お祭りでもやるのですか?」

聞くと、明日4/8は御釈迦様の誕生日で、「花祭」というのを盛大に行うらしい。大根煮はそこで振舞うという。

「それなら、明日来ればよかったなあ」

「生でいいならごちそうするよ」

面白いおばちゃんだ。
















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善福寺の来歴は不明。ただ、祈祷を旨として葬儀を行わない修験寺院が多い吉野山の中で、

江戸時代初期には住民の菩提寺として機能していた例外的なお寺の様だ。

本尊は薬師如来、そしてそれを守護する十二神将の古い見事な仏画が安置されている。

また、本堂の北側に井戸跡があり、それは初代・神武天皇が東征した時にまつわる伝説がある。




















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このお寺では「甘茶」を売っていた。

アジサイの花などを使って作るらしいのだが、驚くほど爽やかな甘みにびっくり。

お土産に買って帰る事にする。



















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さっきの無人花屋に立ち寄ってみると・・・クワガタ、サワガニ、カエル、ハヤなど商品が増えている。

こんな無人商店が世の中にはあるんだね(笑)




その中でナデシコはまだ、そこにいた。

少しくたびれている様に見えるからかな、他の花がいくつか無くなってるのに、誰も買わないらしい。

こんなにかわいいのに、勿体無いよね。

料金箱に300円いれ、大事に抱えて歩き出す。

吉野の上半分は大体廻り、残すは街なかにある下半分だ。





つづく