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14.(レバノン)
魔都ベイルートの夜はふけゆく(後)篇











●オセムがクルマで送ってくれることになった

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『・・・まあ、高額なタクシー代請求されることになりそうだが、歩いて帰るリスクに比べりゃマシそうだ

そのくらいの感覚。

どうやらオセムは日本のアニソンの大ファンらしく、僕が全然知らない、今っぽいアニメの曲をノリノリで流しながら、色々話しかけてくる。

オセム「KOU、ここにバリケードがあるだろ。なんだかわかるか?」

KOU「ああ、朝見かけた有刺鉄線の・・・。政府官庁街とかを守る為のものじゃないの?」

オセム「これ、ベイルート市長が自分のマンション守る為に設置したものなんだ。デモ隊が近づけない様にする為にな。ふざけてるだろ!」









●20:30過ぎの海岸通りは、たくさんの人であふれかえっている
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KOU「月曜の夜なのに、ずいぶんたくさんの人がビーチで遊んでるんだね

オセム「このうち6割がシリアン、4割がレバニーズだ。
そう、レバニーズにも失業者はたくさんいる。社会問題なんだ。そして、お前みたいなのが何も知らずこういう所を通りかかると、めんどくさい男や狂った女にやられることになる」







●ここは高級なナイトクラブだという
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オセム「ベイルートにはビリオネアが豪遊するナイトクラブとか、いくつもある。ビリオネアがとても多い街なんだ。一方、道端で飢え死にする様な人々も当たり前にいる。天国と地獄が並んでる街なんだよ」









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オセム「この辺は判りやすい名所だな。ボートで岩の穴をくぐったりすると楽しいし・・・」









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オセム「・・・なかなかいいレストランもある どうだ、ベイルートもなかなかいい街だろ

KOU「エキゾチックだよね。意味は知らないけど『ベイルート』っていう名前からして、とてもクールな印象だし」

オセム「GAHAHA



オセムはまだまだ僕を連れまわして町案内したいらしいが、明朝3時台に空港に行かないといけないので、ホテルに向かってもらうことに。

最後に、この街の「消灯している信号機のこと」について訊ねる。




オセム「この国の信号機が消えているのはマフィアによるものなんだ。ベイルートには大きなマフィアがある。マフィアは電力インフラを握っていて、連中が供給を停止している区画や設備には電気が流れないんだよ」

KOU「マジか・・・」

オセム「でも」


オセムは行く手にある信号機と街灯を指さした。

オセム「あの信号機は消灯している。でも、隣の街灯は光っている。そして、その先の街灯は光っていない。何故だかわかるか?」

KOU「・・・・・・全然わからない」

オセム「ソーラーパネルさ。光っている街灯はソーラーパネル式。マフィアの電線は無関係。消えてる信号機と街灯は、マフィアの電線につながっているということさ」








●20:50、僕はホテルの自室に戻っていたフゥ
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この数分前、ホテル前でオセムと別れた。

彼は、おそらく本当に善意で僕を運んでくれたのだろう。お金を要求することは一切なかった。しかし、それでも「払う」と僕が言うと、気が変わったらしい。


KOU「いくら払えばいいかな?」

オセム「うーん、ちょっと財布見せてみろ」


オセムは僕の財布を持っていって、有り余るレバノンポンドの札束には目もくれず虎の子の100ドル札(約1.45万円)をサッと抜き取る


KOU「ああっ!!」



1日目のウーバー運転手のアズール同様、この国はこんな連中ばかりなのか!?

100ドル札をサッとポケットに入れると、運転席のサンバイザー裏からレバノンポンド札の束を引っ張りだして、16枚数えて渡してきた。

オセム「これでいいニカッ」

KOU「あ、ああ・・・

オセム「また、ベイルートに来たら、必ずウチの店に寄ってくれ、キョーダイ !!」

KOU「うん、そうする・・・

僕は『1万くらい抜かれたのかしら』と思いつつ固く握手を交わし、オセムを見送った。








●手元に残ったのは大量のレバノンポンドの札束
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おそらく、世界で最も価値が低い通貨のひとつだ。
その10万LL(レバノンポンド)紙幣が32枚。
合計320万LL也。


・・・どれほどの価値なのか、依然としてよくわからない。
そこで、改めてこの日のレートで計算すると日本円で32,000円弱だった。


『・・・日本円から両替しなかったから全然わからなかったけど、日本円換算ではめちゃくちゃ計算しやすい通貨だったのか


ベイルートに来たこの2日間でいくら使ったか計算してみよう。


一昨日、スールのホテルのおかみさんから300ドル受け取り、手持ちと合わせてドル現金は333ドル(約500万L.L分)あった。また、レバノンポンドは確か55万L.Lあった。
つまり、ベイルートに来た時点で手持ちは合計555万L.L分。

今、残金は320万L.Lでドルはゼロ。
よって、丸二日で235万L.L(約2万3千円≒156ドル)消費したことになる。


自転車の修理代は日本円で5,800円ほどだった。
そして、先ほどあの女の子には日本円で約5,500円ほど恵んでいた。手持ちが少ない中でバカなことをしたものだ。

それ以外ではちょっとしたおみやげ、ドリンク、スナック、軽食をとった程度だがやっぱり1万円くらいはかかるらしい。日本より物価は少しだけ高いのかも知れない。

『・・・あれ?』

すると、先ほどオセムが僕の財布から抜いたお金のダメージはどうなるんだ?
落ち着いて考えると100ドル=約150万LL(10万LL札×15枚分)。オセムはその100ドル紙幣を抜き取り160万LL返してきていたから、あのドル札を両替した上でオマケに10万LL札を1枚忍ばせてくれたということになる

運んでもらってチップまでもらったのは初めてだな。
彼もまた、スールのおかみさん「アマンダ」同様、底抜けに親切な人だったということだ。
レバノン、好きになっちまいそうだ。











●今年の「ロマン探求ポタ」も色々な体験をさせてもらった・・・(*v.v)。。
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とても疲れたけど、日本でなかなか味わえない人と人とのコミュニケーションを体感できて、とても刺激になった旅だった。

帰ります!日本へ!



















大名古屋発BROMPTON旅日記

ロマン探求ポタ2023


















●・・・まだ、1か国目の終わりかけだ
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ぶっちゃけ、もはや疲れ果てて日本に帰りたいんだけど(とても珍しいことだ)!


さて、明朝は3:00 A.Mにホテルからタクシーで出発だ!
計画の時に考えていた『自走しようか』なんて無謀な考えは、もはや皆無。
フロントにタクシー手配を依頼し、荷物のパッキングも全て終え、とっとと寝よう!

おやすみ!!















●ロマン探求ポタ(*v.v)。。中東世界テーマ曲2
KONAMI Pop'n Music(2018) ♪Life is beautiful 

















●2023年9月17日(火)3:26(レバノン共和国現地時間)
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この時間にホテルをチェックアウトするのは、国内外関わらず初めてだ。










●このホテル、とてもフレンドリーかつキレイなホテルでよかった
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その先、タクシーの車窓から見る景色は「ザ・暗闇」・・・。
路地も高速も危険度が相当高そうで、自走してたら何かしらの形で死んでただろう。
危なかった。









●ラフィク・ハリリ国際空港到着
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この国に来た時のお昼頃の雰囲気と、この時間の雰囲気は全く違う。
たった3日前がだいぶ昔に感じるほど、濃密な3日間だった。








●搭乗手続きを進めよう
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それにしても、出発時間が早すぎだ。
空港内の両替屋が営業時間前で、レバノンポンドの両替ができなかった。
大丈夫なのかな、これ(←大丈夫じゃない)








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●空港内に古いモザイクタイルのオブジェクトが
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1万年近く前から文明がある国なんだよな。
もっと歳をとってまた訪れることがあったら、その時は博物館とか巡りたい。









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首都空港だが、中部国際空港よりシンプルだ。
個人的に簡素な空港のほうが落ち着く・・・









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●6:30発ペガサス757便 イスタンブール ザビハ・ギョクチョエン国際空港行に搭乗
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空が薄らいできた。








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●定刻で離陸!
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さらば、レバノン共和国・・・(*v.v)。。









●ようやく二か国目「トルコ」へ!
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とにかくカオスなレバノンを脱出できてよかった
次のイスタンブールではキャッシングもできるだろうし、あの素敵な街で素敵なポタができるだろう。
僕は大いなる安心感に包まれて、アジアとヨーロッパを分かつ町に向かうのだった。


レバノンの章【完】


(つづく)



次回

イスタンブールに降り立ったKOU!
5年ぶりのザビハ空港は施設が綺麗になっていて、時の流れを感じさせる。
まずやるべきことはキャッシング。ATMはどこかな・・・?
数分後、僕は再び失意の底に沈むことになるのだった。

次回:トルコの章 『お金がない!』篇


※不定期更新です。


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