●2018年9月17日15:40(イスラエル国 現地時間)

僕はエルサレム旧市街のヤッフォ門(Jaffa Gate)付近にいた。
●エルサレム旧市街MAP(クリックで拡大)

街はひし型になっているひとつの辺がおよそ1.2~1.3km程度と考えると判りやすい。
旧市街はキリスト教徒区、イスラム教徒区、ユダヤ教徒区、アルメニア人区の4つに分かれており、
21世紀においても、それぞれの区域で異なる建物、文化、生活様式などが見られて興味深い。
この街を詳しく知りたい方はALL ABOUTの記事がとても参考になる(僕も、探訪前に読みたかった…)。
●さて、1時間40分遅れのペースで間もなく16:00・・・この後、どうする?

旧市街付近で最低限見てみたいと思っていた地点は上記の通り。
少なくとも3宗教の聖地だけは見学したいところだが、ある事情で『ムリじゃないか?』と感じ始めていた。
でも、とりあえず、それらの近くまでは行ってみよう。
なお、テルアビブへ帰る電車は、予定ではエルサレムマハラ駅18:53発だった。
しかし、ここから駅まで約7~8kmの移動40分を考えると探訪時間は2時間チョイとなり、時間無さ過ぎ

そこで、電車を1時間遅らせて、テルアビブ到着を21:30過ぎとする事で、2時間の探訪時間を確保。
明朝はやくに空港に向かう為の荷物の準備を考えれば、それが精いっぱいだろう。
よって、テルアビブで購入する予定だったチャリのライトは、イスタンブールでの購入に持ち越しだ。

⑩
(イスラエル) エルサレムをポタる 後篇
●とりあえず、ヤッフォ門ちかくにあった構造物が気になって、チョイ移動してみる

その20mくらいの移動で『アルメニア人区』に入った。確かに、街の造りがキリスト教区とたしかにちょっと違う。
僕が気になった構造物(左)は『ダビデの塔』の城壁内側部分であり・・・
●到着直前に城外から見て「おお
!」と感嘆した要塞部分(↓)の城内側だった


紀元前8世紀には構築されていたエルサレムの城壁に、この部分が『増築』されたのは700年ほど後で、
それをやったのは・・・
●先日探訪した港湾都市カイサリア・マリティマ(↓)を造ったヘロデ大王だそうな


要塞というだけあって、城内側にも非常に深い堀がある。
棒高跳びの選手が当時の社会にタイムトリップしたら、とても重宝されるかも知れないな・・・。
・・・そんな風にキョロキョロ
しながら歩いていると・・・

●郵便局発見
!



妹分のシーモから『旅の途中、珍しい場所から手紙を出してほしい』とお願いされていた。
エルサレムは・・・やはり今のところ東洋人を見かけない事から考えると、割と珍しい場所なのかも知れない。
『でも、まだ探検実質2日目だからなぁ!早すぎ早すぎ
!』

ココより旅の後半で巡るトランシルヴァニアの小さな世界遺産の町からのが、欧州好きの彼女にはいいだろ。
そう思って、あっさりと郵便局に背を向ける。
(・・・しかし、トランシルヴァニアに宿泊する2日は土曜・日曜であり、小さな町の郵便局などは当然お休み。
つまり『この旅の中の珍しい場所から手紙を出す機会』は、この時点で永遠に失われたのでございました・・・)
●まずは、聖墳墓教会を目指すべく、キリスト教区に戻ってスークに分け入る

この街の主な住人は、近年では数を大きく減らしているパレスチナ人のキリスト教徒。
商店の品物を見ると、ベツレヘムやアッコのスークとちょっと違う様に感じる。
あちらはムスリムが多数派だったからかしら?

・・・ってか、キリスト教とかじゃなく『浅草の仲見世』に通じる感があるな

●Google MAPナビは居住区の通過を案内する

近年、日本でも『そこそこリアルな西欧風空間』がそこら中に出来たからだろう。
こういうところを通っても『異国感』をほとんど感じなくなったのは、自分としてとても残念…(・ ・)
僕自身の感受性も、どんどん鈍くなっているしな。
●やがて、ちょっとした広場が見えてきた

『おお
!これが聖墳墓教会か!』・・・と張り切って撮影したルテール教会。目的地の50m手前だ。

ドイツのゴシック様式の建築で、聖墳墓教会(背後にドームがちょっとだけ見えている)と全く違う。
この尖塔は内部の階段で登る事が出来、旧市街を一望できるそうだ。
●聖墳墓教会に近づくにつれて、急激に人が増えてきた

そうだ、ベツレヘムでは買い忘れたが、この街でも誰かの分のお土産を買っていかないとな

今のところ、これといったものは見当たらないが・・・
●聖墳墓教会まであと30m・・・

『え?この先
?』

どんどん人が飲まれていく通りの先が閉塞している様子に、嫌な予感を覚える。
●やっぱり!

この入場ゲート、BROMPTONくんとじゃ通れない

KOU:「この近くに自転車を置ける場所はある?」
近くの店のおやじ:「聞いたことねーな」
●聖墳墓教会 敷地内に入れず・・・!

予感的中。エルサレム旧市街は、自転車を持ち歩いて回るには不向きな場所だった。
確実に駐輪する方法としては、ヤッフォ門近くにあるライトレール駅の駐輪場を使うという手もあろうが、
今からじゃ間に合わないし、BROMPTONくんが盗難に遭うリスクもある。
あの敷地の中のゴルゴダの丘やら、キリストの墓やらを見れないのは残念だが・・・
●スパっと諦める


『僕はキリスト教には”無理やり洗礼受けさせられたトラウマ”しかないしな・・・』
そんなことを考えつつ、ショップを眺めながら歩いていると・・・
●おっ、あの絵は・・・!

修復のアレで話題になった絵じゃないか
!

どうせなら、おばあちゃんの絵の方がほしいところ。
タペストリーかと思っていたが長さ30cm以上ある固い合皮で、僕には持ち運び出来ないものだった。残念。
●歩いているうちに、イスラム教区に入ったみたい

ある場所を境に、ヒジャブを纏った女性だらけになった。
Googleマップのナビを頼りに歩いている時は、どうも、自分の位置が掴めない。
街の一枚MAPをちゃんと印刷して持ってくればよかった。
●ロマン探求ポタ2018(*v.v)。。前半テーマ曲 KONAMI Pop'n Music(2010) ♪The Sky of Sadness
●ムスリム教区に入った瞬間に異国感が増し、迷宮的都市に紛れ込んだ感覚に陥る

こういう『没入感』が好きだ

●居住区に紛れこんだのか、人がいない



『"立ち入らないほうがいいエリア"があったな』と思い出して少し怖くなるが、Google MAPではどこか判らない。

現代に息づくラビリンスだな・・・。
●市街のいたるところに武装警察

重要な各所に展開しているようで、2~8人ほどのユニットを頻繁に目にする。
今春、パレスチナ人の男が警察官を襲って殺害する事件があって以来、警備が強化されている模様。

完全に道に迷った。逆方向のユダヤ教区に入ったかも知れない。方向を修正しよう・・・
●すこしずつ立ち寄り地『ダマスカス門』は近づいているみたい

●坂をヨタヨタ上る際、親切な青年が「手伝いましょうか」と声をかけてくれる

丁重に断り、再びヨタヨタ上る



●ダマスカス門から一旦外に出て・・・

●コカ・コーラゼロで一服
フゥ!


この街、カオス感がめちゃめちゃ楽しいぞ
!

イスラエルの旅程をもう1日追加して、この街にも一泊するプランにすべきだった・・・と、少し悔やむ。
●ここから先は、頼りにならないナビを完全無視してテキトーに動くことに

エルサレム北壁に沿って外側からポタしつつ、東隣の『ヘロデ王の門』から再び旧市街に入ろう

●壁の前で自転車で遊んでいた少年たちが、僕を見て追っかけてきた

ヘブライ語かアラビア語か言葉が判らなかったが、4人ばかりと少し並走して、門の前で別れる



●ヘロデ王の門の中は、ムスリムの街

子供たちがとても元気で、歩いている僕の周りに3人集まって「乗せて乗せて
」と言ってきた(多分)。

サドルを下げて預けてみると、しばらく3人で楽し気に乗っていた。
●個人的にはキリスト教区よりムスリム地区のほうがすべてにおいて楽しかった

ガチャガチャ感も、賑やかさも、なつっこい子供たちも、異国感も、街並みも・・・
●古びた香炉から立ち昇るふしぎなかおりも・・・

僕が『時の旅人(佐藤学1994)』を聴いて、心惹かれたイメージにあふれているからだろう。
この街が間違いなく大好きそうなYのお土産をここで買っていこう

●おじいちゃん:「その香が気になるかね?これじゃよ
」


おじいちゃん:「これは古代から続く伝統的な製法で〇×△ を ??した %πγ☆・・・」
それらの英語は僕には判らなかった。『乳香』の事を言ってたんじゃないかと思うが、違うかも知れない。
●お香と、エルサレムのシンボルがかわいらしくアレンジされたマグネットを、このじいちゃんから購入

また、自分用に『パレスチナのミニポスター』も購入

●しかし、『岩のドーム(イスラム教聖地)』、『嘆きの壁(ユダヤ教聖地)』共に入れず

そのふたつの聖地は、このマーケットの先にあるのだが・・・
●マーケットの出口にいる武装警察ユニット(左の影のほうに4人いる)にNGを出される

やはり、BROMPTONくんと一緒では入れない場所が多い。折り畳んでもダメだそうだ。
「それならせめて」・・・とお願いして、出口階段下から1枚だけ写真を撮らせてもらう。
あ~あ、結局、1か所の聖地も入れなかった

●けれど、じゃれてきた子供の笑顔に救われる


旅の中でこんな交流が出来るのも、BROMPTONくんという愛嬌のある同行者がいての事

色々勉強になったし、とても満足だ。
●必ず再訪する

その日まで、さらばエルサレム(*v.v)。。
・・・そう思って出発した僕は、この30分後に身に降りかかってくる危機を想像もしていなかった。
次回、『エルサレムヲ脱出セヨ 篇』
■ロマン探求ポタ2018(*v.v)。。INDEX
Ⅱ.トルコの章
Ⅲ.ハンガリーの章
Ⅳ.ルーマニアの章
終章
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