●2021.11.06(土)08:56
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日差しが差し込む気持ちのいい林道が続く

材木を利用するために山の手入れがされていて、枝打ちや間引きが適切になされているからだ。

木曽の林業の歴史は長い。

江戸時代、山がちな木曽地域では米による年貢が免除される代わりに、山林の材木を年貢として供出していた。
杣(そま)と呼ばれる人たちがこういった山中で木を切り、いくつか規定があった運搬用サイズにその場で加工し、日用(ひよう)と呼ばれる人たちが沢に滑り台をかけて材に傷をつけないように麓に下ろしていた。

麓に着いた材は、比較的小型のものは馬による「駄送(だそう)」で宿場をつなぎながら江戸または尾張へ、丈の長いものは中乗りという人が筏の様に乗って木曽川を下って伊勢国・桑名湊まで川送、そこから海上七里の渡しで尾張国・白鳥湊(シロトリミナト…現名古屋市熱田区)に輸送された。

地元の人から聞いたそんな話を思い浮かべながら、ノタノタ走る。

話に出てくる白鳥は僕の自宅から5kmの近所であり、小さな製材店を散見するのに気付いていたので、なおさら味わい深い。

木曽の林業農家さんや、白鳥付近の製材所の経営者さんは、江戸時代の材木関係者の末裔だったりするのだろうか・・・??









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少しの間平坦路がつづき、このあたりが「ピーク」と感じていた。

鳥居峠より急な上りだったハズだが、廃集落や廃校見学が休憩となった様で、疲労は感じない。

ちなみに、しばらく前から携帯電話の通信波は届かなくなっている。

GPS信号は届きナビも機能するので特段問題はないが、youtubeで「木曽路ポタ旅のテーマ」を流す事は出来ない状態。







●09:10、分かれ道にさしかかった
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直進と右折の分岐点だ。

「自転車ナビタイム」によると「左」(直進)を選べば正解のハズ。

その道の両側には国有林を示す看板が立っている。

『林野庁管轄の道なら贄川宿までちゃんと行けそうだ





●しかし、少し進んでみると・・・
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「あれ?」

道じゃないところに入っているぞ。

どうも「地図に載ってない道」らしい。

『いくら国管轄の道でも、こんな山奥でどこに行くか判らん道は進めない・・・』








●先ほどの分岐点に戻り、右側の道を見る
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こっちだというのか?

明らかに、林野庁の道より人の往来の気配がない。

『ナビが狂っているのか?』

通信波が届かないとナビの精度は下がるのは、2019年のモロッコで経験済みだが・・・

まあ、とにかく少し動き回ってナビの挙動を確認してみよう。












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木曽路2021・秋
(3)

「運命の分かれ道」篇












●ナビが表示している「分かれ道」が判らない

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右側の道のその先は、なだらかな右カーブしか無い様に見える・・・

『いや』

もしかして、左側に道が出ている???






●「あ!」
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道・・・に見える。

落ち葉が堆積した、ゆるやかな下り道だ。







●その先右カーブして・・・
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倒木だ。

田舎の遊歩道で時折見かける光景。

以前はクルマが通れたと思うが、木の状態を見るに倒れてから1年くらいは経ってそうだ。

『くぐって進もう・・・』








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倒木の先もなだらかに下る道が続いている。

『ナビによると左に曲がるハズなのだが・・・』

道の左手は林と灌木に遮られ、カーブなどは見当たらない。







●さっきからどうなってんだ
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道のつきあたりがヤブとなり、行き止まりになった。

見ると、棘だらけのヤブだ。

そのヤブの先にはとんがり屋根の建物が見える。

『・・・少なくとも建物につながっていた道だったハズだ』

ナビの地図が少し間違っていて、建物を経由する様な形で道があるのかも知れない。

そのくらいの事があってもおかしくない様な「山の中」だとも思った。

「しゃあねえ、行くぞBROMPTONくん!」






●BROMPTONくんを盾に、2mの茂みを5分かけて突破する
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棘付きのツタがからまってきて非常にウザかった。

『さて・・・道は???』

ひと息ついて建物の周辺を見回すが、道らしい道は見当たらない。






●『道が・・・無いだと!?』
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勿論、建物は廃墟。

近づく前から判ってはいた。

覗き込んで見るに、もう長い間「放置」なのは間違いない。

『おかしいな、道を見落としたというのか?

建物があるこの場所は「道」を下ったどん詰まり。

道を探すためにさきほどの倒木付近に戻ろうにも棘だらけのヤブを抜ける必要があり、萎える。







●「・・・
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視界に「違う道」は見えている。

それは、さきほどの分かれ道の右側の道をそのまま進んだ地点。

この道、山の中で行き止まりなのは昨晩調べて判っているが、分岐点に戻る事は出来る。

『・・・イバラの道を戻るよりはマシか』

目の前にある急斜面、高さ3~4m、傾斜は25度~30度くらい。

『一見、簡単に上れる様に見えるんだけれど…』







●やすやすと上がれようハズもない!
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「ぐう!」

もう、子供の頃から何度も体験している。

土の斜面など、小さな子供の体重でも簡単に崩れてしまう。

まして、自転車を携えた大人がやすやす登れる筈がない。









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登坂に苦戦している間に、腕がぶちあたってスマホケースが剥がれてしまった。

「チッ!!」

フロントバッグの重さでフロントヘビーのBROMPTONくん。

車体を急斜面に並行にして刻む様に上っても、半分も上がるとバランスを崩してずり落ちてしまう。

フロントバッグを外したいのだが、実は「アンクラッシャブル化」でRIDEAキャリアブロックに換装してから「バッグの取り外しが固くなり」スムーズに外せない事が少なくない。

今、ここでもバッグを外すことが叶わないのだ

「めっちゃうぜえ!!!」








●・・・押し上げるのに10分かかった
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『一体、僕は何やってんだ?

荒い息をつき、アルフォート(バナナ味)を取り出してバリボリ頂く








●這い上がった「違う道」も、クルマが通行できる状況ではない
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先に進めない事もないが、2kmほど先の山中で行き止まりと判っている道だ。









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ただ、少し先で「正しいルート」に近接する場所がある。

『急斜面を下り降りれば、正しいルートに短絡できるか?』

そう思い、崩落を迂回して「下」を見てみるけれど・・・







●「うーん・・・」
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身一つだったとしても降りられる斜面でないのは一目瞭然。

ただ、灌木の背後に「道」は続いている様に見える。

『やはり、道はあるらしい・・・』

さっきの「分岐点(2つ目)」まで戻ってみよう。






●・・・よく見ると、道らしきものが見えた
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『あー・・・』

「棘のヤブ」の手前の下り斜面に、やはり曲がり道はあったのだ。

ただ、その曲がり道部分が斜面が崩落してヤブになっていたので判らなかった。

「・・・先に進めないわけでもないってことか」







●どうする?
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現在10:04。

さきほどの「棘のヤブ」から全く進んでいないのに、40分経過している。

先に進めたとしても、それなりの困難は避けられまい。

今なら、「国有林の分かれ道」まで戻るのはカンタン。

そこから道を引き返せば、国道19号には30分たらずで戻れよう。

さらに30分後の11時には、贄川に到着できる。

木曽福島から御嶽山麓の宿への自走はさすがに間に合わないが、早めに宿に輪行すれば、美しい夕景の中で御嶽山麓の開田高原をポタすることは出来るだろう。






「一方で・・・」

目の前にうっすら見える古い道。

谷の状況から考えて「何かしらの歴史的な道」に思える。

『ちょっと偵察してみるか・・・』

身一つで先に進んでみると、見える範囲では進めそうに感じられた

これを踏破できれば、木曽路マニアの僕としてはとても嬉しい。

間違いなく ここをBROMPTONで踏破した最初の人物になれる・・・(*v.v)。。

気がかりは、ただ一つ。

この斜面(崖)を下りた後、BROMPTONくんを連れて再びのぼる事は、おそらく不可能。










●『この道を進めば旅程崩壊するか?』
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日没前に鳥居峠(遊歩道)を越えるには、贄川には13時には到着したい。

その為には、贄川までおよそ4kmのキョリを3時間で進めばいい。

時速1.3km・・・80歳くらいの方がゆったり歩いてるのに等しい速度だ。



過去の「険しいポタ」を振り返ってみる(*v.v)。。

僕は、「西国一の難所」と謳われた熊野古道八鬼山(ヤキヤマ 627m)を、麓からDAHON vitesseくんと共に時速1.2kmで登頂した経験がある。

また、実はついこの前2021年10月2日、「東山道一の難所」と言われる「神坂峠(ミサカトウゲ 1,569m)」(登山道ルート)も、強清水(コワシミズ1,100m)からBROMPTONくんを担いで時速1.0kmで登頂している(ブログ未掲載)。

割と険しい上り道ですら、そのくらいの速度でいける。

いくら困難な道でも、道がある限り下りで時速1.3kmなんてことは絶対にありえないハズだ。

ただ、現実、さっきから40分かかって100mも進んでいない。

道が判別できない様な状況になると、こうなる。

つまり、3時間で贄川に着けない可能性もゼロではない。








●自問自答を繰り返す(*v.v)。。

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Q.『まずありえないが、3時間で着けない場合はどうなるか?』
 ↓
A.『鳥居トンネルで峠を越えればいい』

鳥居峠をトンネルで抜ける場合、贄川→木曽福島間の移動は3時間もあれば十分。

多少、日没後走行があっても構わないので、贄川15時出発、木曽福島18時到着を目指せばいい。

鳥居峠(遊歩道)を越えた薮原側の紅葉は、間違いなく旅のハイライト。

これを達成できないのは「ある意味最悪」といえるが、旅は継続できる。

つまり、最悪5時間以内で贄川に着けばいい。

これは時速800m・・・赤ちゃんの「ハイハイ」より遅い。

旅程崩壊はまずあり得ないのだ。









僕の心は決まった(*v.v)。。











●「KOU孤独な旅路」のテーマ(*v.v)。。(椎名林檎と宮本浩次「獣ゆく細道」2018)

電波が無くストリーミングは使えない環境だが「楽曲ダウンロード派」の僕は問題ない。

moraで購入しまくった膨大な楽曲データがXPERIAに蓄積されている。

2019年のモロッコ・タンジェの夜も聴いた「孤独な旅路のテーマ(*v.v)。。」をかける。







●「モノホンかテンプラかなんてナンセンス~♪ 能書きは~まう結構です!!♪!
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幸か不幸かさへも 勝敗さへも

当人だけに意味があ~る~










林檎とミヤジの歌声に勇気を得たKOU!

BROMPTONくんと共に「運命の分かれ道」を滑り降りる!





…まさに、最悪の選択だった!




(つづく)




(「KOU・孤独な旅」類似記事→港町・タンジェの夜(モロッコ)


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