●2023年9月17日(日)05:20(レバノン現地時間)
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2023ワールドポタの実質2日目の早朝。
僕は『毎回こんなことやってるな』と思いながら、VAIO Zでレバノン国内の自転車店を検索しまくっていた








●この日の行動計画
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海岸線沿いの道をベイルートまで88kmほど自走する予定だったが・・・








●とてもムリ
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<ステータス>
なまえ:KOU

よろい:ぬののふく

かぶと:おりたたみヘルメット

ステータス:のろい(つうしんふのう、せいしんふあん)

じつだん:55万L.L. + 33ドル / 1,000中国元(このくにではつかえない)

まほう:ANAカード(このまちではつかえない)

うま:BROMPTON号【おおけが】(そうこうふのう)

おたから:猫神の置物、ハイクラスキーホルダー








●愛馬BROMPTON号がおおけが
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昨晩、ペダルがもげて「走行不能」。
必死のリサーチの結果、レバノン国内で手当可能そうな病院(BROMPTONを明らかに取り扱っているショップね)を2軒見つけたのだけど・・・

①首都ベイルートの店→日曜定休
②北部タラーブルスの店→危険度3エリア内
→どちらも利用できない。

今日相談できるとしたらベイルート市内で1軒だけ見つけることが出来た「気の利いてそうな自転車店」のみ。



しかし。



そこまでどうやって行くんだ?
タクシー代は?
もし直せたとして、修理代は?
そも、ここの宿代は?
キャッシュの問題で詰まってしまう。






●つかれた。何も考えたくない
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はっきりしていることは2つ。
①「本日、ベイルートまでの自走は不可能」
②「何事も相談相手は宿のおかみさんだけ」
これらは間違いない。


『おかみさんになるべく負担かけないように、予め英文で「お願いごと」をまとめておこう』

そして、朝ごはんの後に相談するんだ。

翻訳サイトなども使って「お願いごと」を10分程でまとめた僕は、シャワーを浴びて服を着替え、朝の散歩に出ることにした。












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06.(レバノン)
挽回 篇








※以降、この記事は横長画像だらけなので、Xperiaほか画面がキレイなスマホをご利用の方は横向きでの閲覧をおススメします。






●ロマン探求ポタ(*v.v)。。中東世界テーマ曲2
KONAMI Pop'n Music(2018) ♪Life is beautiful 











●06:58、裏口から宿を出る
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宿の正面玄関は厳重に閉ざされていた。










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思ったより治安良さそうな町も、スキあらば即被害に遭う世界なのは間違いない










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お~、ステキだなあ









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●港に出た
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●港前の民家の庭で、椅子に腰かけた聖人像が朝焼けの港を眺めている
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ああ。

こういう景色こそ、旅先の土地の何気ない日常。
僕が旅に求める要素そのもの!









「はっ

相棒もこういう景色を見たいに違いない!
慌てて宿に戻り、寝ていた彼を連れ出す。













●お互い、生涯で二度は来ない町に来てるわけだし、走れなくとも一緒に歩こう
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●「女神像」の足元で漁夫たちが作業している
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●港内の浮遊物は日本より格段に多い
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「地中海はゴミ多いな」と前から思っていたが、多分、世界中の海もこうなる筈だ。









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とてもすがすがしい散歩だ









●旧市街もめぐる
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●あっ
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●なんてかわいい
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ネコの多さはイスタンブールを思い出す感じ。









●そして、聖人像も多い
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●民家3軒に1軒くらいのペースで何かしら聖人が飾られている
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●もしかして、こういうものの密度は世界一か?
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●ビーチは無人だった
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●野犬もかなり多いね
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●散歩中、かなりしつこい「朝食の客引き」につきまとわれて難儀した
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『・・・ほんと、宿に泊めてもらえて助かった
野宿なんてハメになってたら、一晩の間に何回か危ない目に遭ったろう。










●たっぷり歩き回り宿に戻る
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屋上に行くと、おかみさんがすぐに朝食の支度をしてくれた。
「肉」「魚」など何種類かの選択肢の中から僕がチョイスしたのは・・・









●「スールスペシャル」
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スールの郷土食という「豆のペースト」を中心とした料理。









●例によって食べ方がわからない
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KOU「どう食べればいいのかしら?」
おかみさんは、笑いながら教えてくれた。










①適当量の豆ペーストをすくい、オリーブオイルをかける
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②パンを適当な大きさにちぎって・・・
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③ペーストをくるみ・・・
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④おいしくいただく(*v.v)。。
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「マサハバ」という料理で、キプロスからシリアにかけて食されているものらしい。
ひよこ豆を使うのは各地共通だが、スール(レバノン)ではオリーブオイル、ダマスカス(シリア)ではバターをかけて食べるなど、地域によってかなり味は違う模様。










●大変おいしゅうございました(*v.v)。。
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・・・いや、宿代持ってないのに、こんなにくつろいじゃっていいのかな

(以上、横向き写真おわり)









●さて、ジャッジメントタイムだ
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KOU「結局、僕はどうやってお支払いすればいいのでしょう?」

おかみさん「さて、どうしましょうねえ

KOU「実は・・・自転車のことでも相談したいことがあって

あさイチでまとめた「自転車に関する相談事」の画面をおかみさんに見せる。
その内容は、下記について具体的かつ端的に英文で表記したもの。

①自転車の破損個所
②必要な措置(ペダル交換)
③自転車の特殊性による課題
④相談できそうな自転車店のHP
⑤相談できそうと考える理由


彼女は30秒くらい文章を読んで、

おかみさん「なるほど・・・わかった、まずは自転車の方をなんとかしましょう

KOU「ん?でも、先に宿代を解決しないと、申し訳ないですよ」

おかみさん「いえ、あなたの旅のスケジュールに大きく関わる課題を先に解決しましょう








●神・・・なのか?
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おかみさんは自転車屋に電話をかけて、VAIO Z画面の文章を見ながら状況を説明してくれた。
さらに、自転車屋の指示を受けてGalaxyでペダルの破損状況を撮影、送信。

おかみさん「40ドル(約5,800円)で修理可能だって!!」

KOU「そんな簡単に直せる筈が無い

『折り畳み機能がついた特殊なペダルだよ』と彼女に自転車屋に説明してもらう。

おかみさん「普通のペダルに交換すればいいと言ってる。自転車折り畳みたい時は抜けばいいって」

なるほど、そういうことか。

おかみさん「あなたの旅を続けられる素晴らしい解決策と思うわ 今日この後、その自転車店に行くことにしましょう」

KOU「しかし・・・僕はあなたへの宿代すら払う方法が無い

おかみさん「もし、あなたがタクシーに乗れないなら、私の旦那が仕事に行くついでにベイルートの自転車屋まで送るわよ










どうやら本物の神・・・
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KOU「・・・で、あなたが考える僕の支払い方法案を教えて頂けまいか?」

おかみさん「western unionって知ってる?」

KOU「いいえ」

おかみさん曰く、世界中に簡単に送金できるシステムらしい。

おかみさん「あなたの国で送金してもらえば、1~2時間で近くのオフィスから係員が現金を持ってきてくれるの

ネットで検索すると確かにあった。こういうサービスは政情不安な国でポピュラーらしい。

おかみさん「母国のご家族とかから送金してもらえばOKよ



なるほど。
だったら、僕自身がネットバンクで店に入金すれば「即完了」かもだ


しかし、思ったより送金のハードルは高かった。

・実店舗に「現金」を持ち込まないといけない
・日本の店舗は東京圏の郊外にしかない
・時差の関係で日本はもう夕方



KOU「ダメだ、お店が遠くて頼める人がいません

おかみさん「あら、そうなの 他の方法は思い浮かばないわ

もはや日本に帰ってからEMS(国際速達郵便)で(禁止事項ではあるけど)送金するしかない。
サイトで確認すると、レバノンには5~6日で到着することが判った。

おかみさん「ずいぶん早いのね・・・わかった、他に手段がない時にはそうしましょう。どっちにしても、あなたにこの後のためのお金を渡さないとね








●・・・最終的に頼るしかなさそうだが、非常に抵抗感がある

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KOU「もう1回、ATMでキャッシングできないか確認してきます

昨晩、VISAカードの「海外キャッシング枠」をWEB申込していた。「利用開始まで最速3~4日」とあったが、ダメ元で試さないと気が済まない。
ATMには片道徒歩15分かけて到着したが、当然、キャッシングは出来ず、宿にとんぼがえり。





詰んだ。





KOU「やっぱりダメでした

おかみさん「でも、こっちはグッドニュースよ。あなたのカードが使えるわ

彼女はクレカ決済の端末を持ち上げて笑った。

KOU「・・・はい?」

おかみさん「銀行の人に来てもらって端末をチェックしたの。3年間使ってなかったけど、『使える』って

彼女はそう言った後、隣のビジネスマン風の男性を睨むしぐさを見せた。ビジネスマンはおどけた様に肩をすくめる。

KOU「・・・何が何やら、さっぱりわからない 端末使えるなら、最初にやっていれば・・・」

おかみさん「後で説明するわ。
まず、私は今、あなたにこの後の行動費300ドルを渡す。
次に、あなたのカードから宿泊費90ドルと、行動費分300ドルを引き出す。
それでいいかしら?」



なるほど
これならキャッシング枠無しのカードでも、現金を引き出せるわけか。


おかみさん「行動費、500ドルくらいあったほうがいい?」

KOU「レバノンの滞在はあと丸2日だし、300ドルあれば十分ですよ」

おかみさんが差し出した300ドルを受け取る。

おかみさん「もう、小悪党にひっかかっちゃダメよ」

差し出された端末にカードをかざすと「ピッ」という聞きなれた音が鳴った。

おかみさん「・・・うん、ちゃんと決済できた







●体中の力が抜けて、緊張が溶けた

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よかった、宿代払えた。
そして、手元ドルが333ドル(約4.8万円)に。550,000レバノンポンド(約5,400円)と合わせて使用可能キャッシュは5万円台を回復。
「金欠ストレス」からもひとまず脱出だ。


おかみさん「無事、解決してよかったわ!!でも、銀行から私に今回のお金が支払われるのは2カ月~3カ月後なの

KOU「ええっ!?」

おかみさん「銀行は大きな取引先にはすぐお金を支払うけど、ウチみたいな小さなお店はとことん後回し。馬鹿にしている。だから、私たちは銀行を信用しないし、使わないのよ。でも、今回はあなたの援けになって、本当によかったわ






なんてこった。

そんな裏側があったなんて








KOU「・・・本当にありがとうございます。もう、それしか言えない

おかみさん「いいのいいの あとは自転車店行きのタクシーの手配ね。私がちゃんとやるから、安心してね」








●あなたが神なのですね
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信心深い人が多そうなエリアというだけあるということだろうか。
とにかく、おかみさんを信じて救われた。

『なかなか無い経験だ』
そう思いつつ、僕は次のステージに向けて出立の準備に入る。


(つづく)



次回

神様が手配してくれたタクシーでベイルートに向かうKOU!
目指すは「気の利いていそうな自転車店」。
果たして愛車は復活できるか?
そして、「中東のおパリ」ベイルート市の雰囲気はいかに?


次回:レバノンの章 『ベイルートの自転車店』 篇


※不定期更新です。


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