●警備員さんA曰く「職員駐車場は急坂の上の方にある」らしい
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急な道をスタスタ上っていくYに遅れをとり、慌てて追いかける。

100mも上がると道は平たんになり、右側に古めかしいコンクリートの擁壁が出現した。





















●その上を見上げると竹林に白い壁
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KOU:「なるほど、珍奇なものが置かれていそうな雰囲気じゃないか」

Y:「職員駐車場はあの中かしら?」

KOU:「どうだろう?」

この道の先を右に曲がって少し進むと右手にコンクリート舗装の道が出てくる筈。

その先にお目当ての駐車場はあると、警備員さんAは言っていた。方向的にはあの中かも知れない。

KOU:「けど、ここからあそこに直接的に上がる道はなさそうだね」

道の先を見ると、別の警備員さんがいるのが見えたので、その人にも尋ねてみる事にしよう。



















熱海珍スポ探訪記 2017.03.19
浅野祥雲作品と秘宝館を訪ねて
推理篇













●警備員さんB曰く「ああ、仏舎利ね。結構遠いよ」
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警備員さんB:「この道をずーっと歩いていって・・・そうだなあ、700~800mくらいかな。

  そしたら右に分かれ道があるから、そこを右に入ってずーっと行くと、仏舎利とか仏像があるよ」

そう教えてもらって、僕らはかなり急な道をトコトコ歩いていく。

KOU:「イメージしていたよりは遠いみたいだね」

Y:「でも、ポカポカ陽気で気持ちいいし、まあ、いいんじゃないですかね

そして・・・




















●500mほど歩いてきて、気づく
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Y:「あとどれくらいあるのかしら?」

KOU:「ええと…googleマップによると、あと200m先…あの茂みの陰に確かに右折路があって、

  その1.2kmほど先に駐車場らしき表示が・・・」

Yは立ち止まって「おかしい」と言った。

Y:「こんなに駐車場が遠かったら、私なら即日退職するけど」

KOU:「そりゃそうだ

そういえば、警備員さんBは『仏舎利』とか言ってたが、浅野祥雲作品に仏舎利なんて無いだろう。

おそらく彼は、僕らがヘンテコなコンクリ像を見に来たという事を理解できず、

まともな寺院の立派な仏舎利やら仏像やらを見学しに来たと勘違いしたに違いない。十分あり得る話だ。

KOU:「途中、右手に閉じられたゲートがあったし、おそらくはそこじゃないかな」

・・・どうやら、往復1km程度無駄足をしたようだが、

やわらかな日差しと素晴らしい景色を楽しみつつ、のんびりと戻る事にする。



















●やっぱり、ここだったようだ
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そのゲートは簡単に開ける事が出来た。

少し進むと、最初の警備員さんAに教えてもらった通りコンクリート舗装の道の先に駐車場らしき区画。

写真右手奥に見える手すりのあるスペースが本で見た写真の背景の雰囲気に似ている。

坂を上ってみると、そのスペースへの入り口には土砂が積まれていて少し入りにくそうだ。





















●どうも、駐車場として使われている様な感じではない・・・
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Yが「行け」という様に指図するので、土砂を乗り越えてコンクリートの天井の上に立ち入ってみた。

・・・入る前から気づいていた事だが、コンクリート像は見当たらない。

ガイドブックの写真ではここが駐車場スペースで、野ざらしのコンクリ像が大量にある筈なのに・・・

区画の隅の藪の中をくまなく見回してみても、コンクリ像はおろか、破片の様なものも見当たらない。

土砂の丘の向こう側から様子をうかがっていたYに「無いねぇ」と伝え、坂をさらに上ってみる事にする。




















●丘の頂上には鉄塔が
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ラジオの中継局かしら?

行き止まりの丘の上あたりを探ってみても、コンクリ像は無い。

となると、先ほどのコンクリ屋根の下にでも保管されているのかしら?



















●駐車場は雑然とした感じ
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KOU:「もしかして、あのコンクリ片の様なものは残骸なのでは?」

Y:「まさか!仏像にそんな事したら、バチがあたりますよ」

念のため瓦礫を見てみたのだが、コンクリ像を破砕した様なものには見えない。

まあ、そんな強烈なものがここに転がっているなら、最初に話を訊いた警備員さんAが教えてくれただろう。




















●この駐車場にはもうひとつふしぎな事があった
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Y:「このクルマ、どうやって出し入れするのかしら

 例えば、用事が出来て早退したい時、先頭以外のクルマ出せないでしょ」

KOU:「たしかに 特にこのワンボックスなんか、どうするんだろ?」

全員、駐車場に集合してクルマ出すとかなのかな・・・

それとも、何か画期的な手段ですり抜けたりできるもんなのだろうか。想像もつかない。




















●とにかく、屋根の下にコンクリ像は見当たらない
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もう一度、ガイドブックを見返してコンクリ像の背景の様子を確認してみる。

KOU:「やっぱり、この写真はあの屋根の上で撮られたものだよ。もう1回、見に行ってみよう」



















●ご覧の通り、仏像どころか石柱ひとつ無い
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ん?

手前に何かコンクリの破片の様なものが転がっているぞ・・・



















そうか。

そうだったのか・・・





















●KOU:「謎はすべて解けた(*v.v)。。」
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今度はYも土砂の丘を乗り越えてやって来た。

KOU:「コンクリ像が見当たらない理由がわかったよ」

Y:「ええっ

KOU:「コンクリ像はすべてココで破砕されて、リサイクル工場に運ばれてしまったのさ。

   そして、これはコンクリ像の残骸だよ・・・。業者が慌てて積み忘れてしまったんだ」

Y:「そんな罰当たりな事するなんて・・・信じられない」

Yは驚いた後、悲しげな表情を浮かべた。




















●信じられないとは言うけれど
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熱心な浅野祥雲ファンのYはそう思うかも知れないが、世間一般の常識から考えると、

これらのコンクリ像は『扱いにくい厄介品』と思われていても何ら不思議の無い代物だ。

もし、熱海城の管理会社がこの土地の再開発でも考えているなら、

真っ先に片付けたいものは1体あたりの重さが100kgを優に越えカンタンに移動も出来なければ

粗大ゴミに出すわけにもいかないコンクリ像だろう。

おそらくコンクリ像は、コンクリ屋根の上で土木工事用の破砕機か何かで粉砕され、一掃されたのだ。

KOU:「こっちの像はあきらめて、第一駐車場の方の像を見に行こう」

Y:「仕方ない、そうしましょう」

釈然としない表情のYを促し、僕らは再び熱海城の方へ下っていく。

(つづく)