(9)宿泊先 アンザスホテル




●ニコライと別れる

郷土博物館、そしてアバカンの丘からホテルに戻ってきた。

まだまだお昼くらいの明るさでだけど、時刻は19時ぐらい。

ニコライとはここでお別れになる。

クルマを降りてドアを開けてくれた彼に、日本から持ってきた小箱を渡す。

ニコライ:「これはなんだい?」

KOU:「日本で買って来たおみやげだ。『チャワン』だよ。君なら知ってるでしょ?」

もともとニコニコしてるニコライは、さらに笑顔になった。

ニコライ:「へ~、『チャワン』か。もらっていいのかい?」

KOU:「もちろん。君のおかげで本当に素晴らしい1日になったよ」

ニコライ:「有難う。大切にするよ!じゃあ、達者でな!」

KOU:「グッバイニコライ」

今、心残りは、彼の本当の名前を忘れてしまったという事だ^ ^;














●信用してくれないトーマス

部屋に戻ってシャワーを浴びてガウンを羽織ってみたりしていると、部屋のドアがノックされた。

『そういやこのドア、覗き窓もドアチェーンも無いぞ・・・』

ガウンを整えてドアをちょっと開けてみると、ガイドリーダーのトーマスが立っていた。

トーマス:「ニコライから聞いたよ。なかなか素敵な旅程だったようじゃないか」

KOU:「ああ、ニコライに感謝してるよ」(お前はどっかに行っちゃったけどな)

トーマス:「そりゃあよかった。一応、今日の予定はこれで完了だが、何か用はあるか?」

KOU:「・・・いや、特に無いな」

トーマス:「そうか。じゃあ、次に会うのは明後日の朝という事になるが、ちゃんと判ってるか?」

KOU:「出発の時間の事か?」

トーマス:「飛行機は9:30に出るから、7:30には空港に行きたいところだ。空港までは20分くらいかかる」

KOU:「じゃあ、7:00に落ち合おう」

トーマス:「俺が言おうとする事はもう判ると思うが、お前の時計は・・・」

KOU:「お前たちの時間より1時間早いって言うんだろ?」

トーマス:「そうだ。お前にとって8:00に待ち合わせだ。まあ、俺が部屋に迎えに来るから寝過ごしはないが、

   迎えに来た時にお前が勝手にいなくなっていても困るからな」

トーマスはニヤニヤしていて、こちらも苦笑しちまう。

KOU:「子供じゃないんだ。判ってるよ」

トーマス:「お前は危なっかしい。出発前に何か困った事があったら、ホテルスタッフにこう言うんだ。

     『トーマスを呼べ』とな」

大げさに言うもんだ。

KOU:「わかったわかった」

トーマス:「俺は不安だ。確認しておこう。俺とお前の待ち合わせ時間は何時だ?」

KOU:「僕の時計で8:00。お前たちの時間では7:00だ」

トーマス:「OK。で、お前は困った時に誰を呼ぶ?」

KOU:「プーチン

トーマス:「GYAHAHA!!もし、ヤツが本当に来たら、もっと困った事になるぞ!」

KOU:「国際問題になるかな?」

トーマス:「知らん。トラブルになった時は俺に関わるな」

KOU:「冷たいな」

トーマス:「まあ、いいだろう。判らない事があったら、すぐに俺を呼ぶんだぞ」

KOU:「ああ、トーマス、ちょっと質問があるんだが、君には子供はいるかい?」

トーマス:「ん?小さい子供が2人いるけど、それがどうした?」

KOU:「ちょっと待ってて」

さっき、ニコライにあげた茶碗、実は一番良いおみやげで、

本当はガイドリーダーにあげるつもりだったんだよな~・・・なんて思いながら、スーツケースをごそごそ。

紙袋に入った細長い物体を2本持って、トーマスのところに戻る。

KOU:「これ、日本から持ってきたお土産だ」

トーマス:「ワーオ」

お、こいつ、こんな嬉しそうな顔するんだ。

袋を開けて、中身を引っ張り出すトーマス。

トーマス:「このスティックは?」

KOU:「極東アジアの『箸』だよ。中国や韓国、勿論、僕の国・日本でも使われている。

   これは日本製の子供用の箸で、デザインは『新幹線』・・・えーと、日本の超特急だ。知ってる?『新幹線』」

トーマス:「日本の高速列車の話は聞いた事はあるよ。すごくかっこいいな」

KOU:「これは最新型だ。N700系って呼ばれている。僕が住む街も走ってる。

    まあ、君というより子供さんにプレゼント」

トーマス:「ありがとう。とても嬉しいよ。子供も喜ぶと思う」

トーマスはニコニコしながら帰っていった。









●BROMPTONのパッケージ、解く
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ようやく、落ち着いたところでBROMPTONをチェックしてみると、発泡材は多少破けていた。

けれど、外側から見たところ、ダメージはほぼなさそう。













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イージーカバーの中には、一応、バスタオルを保護材代わりに入れてた。

ペダルがフレームに傷付けない様に部分的な保護材も入れてたが、問題無さそう。














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今回、日本国内の「名古屋→成田」でクロネコの空港宅急便を使った。

これは、僕の様に『自転車の丁寧な梱包を横着したいお気楽ポタリスト』でも、

非常に手軽に海外でポタリング出来ちゃう、画期的な内容だったと思う。









≪ストレスゼロ!誰でもラクチン『お気軽海外空輪ポタ\(^0^)/』≫(KOU案)

①折り畳み・包装
ポタリスト、折り畳み自転車をいつものように折り畳み、多少の緩衝材いれてカバーかける。
 ↓
②集荷予約
ポタリスト、クロネコさんに空港宅急便の予約。クロネコさんが自宅までチャリ取りにきてくれる。
 ↓
③梱包
クロネコさんがパッケージごとプチプチでグルグル巻きにして壊れない様にして、指定空港まで運んでくれる。
 ↓
④チェックイン
ポタリスト、カートを持って空港の宅急便受取場所に。スグにチャリをカートに載せて、国際線チェックイン。
 ↓
⑤航空輸送
航空会社、クロネコさんが梱包したチャリをサッサと運ぶ。なおタイヤの空気を抜く必要はない。
 ↓
⑥現地バゲッジルームで回収
ポタリスト、カートを持って到着空港のバゲッジルームで受け取り。
そのまま、タクシーコーナー(あるいは送迎車コーナー)へ。
チャリは運転手さんやポーターが部屋まで運んでくれて、ラクチン!
 ↓
⑦部屋で開封
ポタリスト、ホテルの部屋でチャリを開封。この時、プチプチは廃棄せずに残しておく。
 ↓
⑧ポタリングを楽しむ
 ↓
⑨部屋で包装
ポタリスト、ホテルの部屋でチャリを包装。チャリを折り畳み、保管しておいたプチプチも使って保護を行う。
 ↓
⑩タクシー等で空港へ移動
重い荷物はポーターや運転手に運んでもらえる。空港内はカートに載せて移動。
 ↓
⑪グルグル巻き機でグルグル巻きに
空港内にあるスーツケースなどをぐるぐる巻きにする機械で、パッケージごとチャリをぐるぐる巻きに。
これで、往路ほどではないものの、手軽かつ安全に、空輸中のチャリの安全を確保。
 ↓
⑫帰国・空港で宅急便依頼
バゲッジルームでチャリを回収、カートに載せて空港宅急便受付へ。
 ↓
⑬帰宅・開封
チャリを開封。ダメージを受けているかも知れないので、チャリ屋さんで点検しましょう。



・・・まあ、単に『空港宅急便』と『タクシー(等)』を使うだけだが、

この組み合わせで、びっくりするくらい『海外ポタ』はラクで、快適になる事が判ったという事^ ^;














●ロシアの田舎町のホテルって、どうなの?
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他のホテルの事はよく判らないが、アンザスホテルはなかなか綺麗なホテルだった。

天井は高く、ベッドふかふか、シーツも清潔。

懸念していた害虫もゼロ。












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シャワーはこういうタイプのヤツ。

スチームサウナが使えるタイプかな。使い方判らなかったんで、僕はやらなかったけれど。














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天井にある平たいシャワー、手持ち式のシャワー、ボックス内のあちこちから吹き出すシャワー、

それと足湯みたいなのが選択出来た。

ただ、文字が読めないので、よく判らない(いきなり天井から水降って来てかぶったり。まあ、それが楽しいけど)

トイレはバスルームの隣にあるフツーのトイレで、ビデはなし。

洗面台は、ちょっとおしゃれな感じの蛇口だった。















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ベッドに向かった左手にあるテーブルはこんな感じ。

ここもまあ、大体、フツーのホテル。















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ティファールの湯沸かし器や、ティーバッグみたいなモノがある。

ちなみに、ホテル内は無料WI-FIが問題なくつながり、ホテルにいる限りは通信に困る事はない。















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ベッドに寝転ぶと、目線の先にちょうど液晶テレビ。

メーカーはサムスン。

テレビは1回も付けなかったなあ。ちょっと、見てくればよかった。

















●ミニバー、楽しむ
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あっ

ミニバー発見。

実は、ちょっと寝てる間に夜中になってしまい、夕食を食べ損ねたんだよね。

ホテルの周りはけっこう暗くて、外出するのもちょっと怖くて困っていたので、これはありがたい。














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ミニバーにあった食べ物はこれ。

カップ麺・・・?

















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読めない・・・けど、熱湯4分かしら?

まあ、いいや。














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中に入っていたのはこういうもの。

ロシアのカップ麺にはフォークも入っているのか。これは便利。















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ティファールでお湯を沸かして注いでみた。

ふと、容器の形状を見て疑問が。

『これ、お湯いれたままで食べるのかな。それとも、捨てるのかな』

そう思ったのは、容器の形状が日本の『カップ焼きそば』(お湯を捨てる)に似ていたから。















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お湯は捨ててみた。

もし、お湯が必要(しょっぱすぎる)とかだったら、後でお湯を足せばいいが、

間違ってお湯を注いでしまったら、薄すぎて食べられなくなっちゃう。

お湯の捨て方はなかなか難しく、『湯切りターボ口』などを備えた日本のカップ焼きそばの完成度の高さを

こんな場所で感じたりする。














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かやくや粉末ソースを入れてみると・・・ああ、どうやら正解っぽい。















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パッケージイラストと比較しても、大体、こんな感じでしょうね。

では、いただきま~す\(^0^)/








モグモグ・・・

おお、けっこう、味が濃いな。もしかして、お湯入れたまま食べるものだったかしら?

でも、それだったらもう少ししょっぱくなるよね。

何というか、食べなれた『化学調味料の味』というか。他国の食べ物という感じではないかな。

そして、ふつふつと『明日はまともな夕食を食べよう』と心に誓ったりするワケです。















●訪問者

とりあえず、おなかも落ち着きました。

2時間くらい前まで、他の部屋の人たちの笑い声などが聞こえていた。

『ロシアの学生グループの旅行とかかな・・・』

そういった声も聞こえなくなり、時刻は24時過ぎ。

外を見ると、雨が降っている模様。っていうか、時折稲光が走り、嵐みたい。

雨が少ないアバカンで、けっこう珍しいんじゃないだろうか?

そんな事を考えながら、ベッドにもぐり、ウトウトし始めた頃・・・





『コンコンコン』




ドアをノックする音。

『?』

なんだろう、こんな時間に?

ああ、さっきフロントで売っているおみやげ買いにいった時に、忘れ物したのかな。

おばちゃんが届けに来てくれたんだろう。

それしか考えられない。

KOU:「はい~」

ノックに日本語で返事しながら、

ガチャ。

開けたドアの向こうに、2人の若い女の子がいて、あまりの意外さに腰を抜かしそうになった。

さっきの若者グループ(と思う)の仲間が部屋間違えたのかな。

それしか思い浮かばない。

崩れた体勢を立て直して、ガウンを直して、

KOU:「・・・誰?」

女の子:「○×※√$*・・・」

だから、ロシア語(あるいはハカス語も)は判らんって。

KOU:「・・・君たち、あっちの部屋じゃないの?」

そう言って、声が聞こえてきていた方向を指さしてみたけど、無反応。

『なんだなんだ?』

やっぱり、こっちが英語で話しても全然通じていないみたいだし、

向こうからロシア語で色々話されてもさっぱり意味が判らん。

でも、部屋間違ってきたのならとっくに帰っているだろうから、そうじゃないって事は判る。

なんか、部屋に入りたがっている事も。

『・・・怖』

帰らないって事は、僕に用があって来たって事?

でも、この部屋って、ホテルのカウンターの前通らないと来れないよな。なんで入ってこれるの?

ってか、カウンターのおばちゃん、来客ならなんで連絡してくれないの?

どっちにしても、こんな若い人たち(もしかすると16歳くらいかも)が、僕に何の用?

あらゆる角度から、さっぱり意味わかんないし、なんか、トラブルや危険の臭いしかしてこない。

それからしばらく、通じない言葉でやりとりしてたが、

女の子の1人が唐突に「SEX & マッサージ」と言って、『コイツバカだ』みたいな目で見てきた。

KOU:「君たちが?ウソでしょ」

今考えてみれば、それぐらいしかないかも知れないけれど、

ちょっとあどけない感じで子供の様な容貌から、全く予想してなかった。

KOU:「いらんいらん、ノーサンキュー」

そう言うと、2人は『何コイツ、信じらんない』みたいな表情をして、ブツブツ言いながら去っていった。

KOU:『何このホテル、信じらんない・・・

フロントのおばちゃんが売春婦の子たちをスルーしただけじゃない。

ピンポイントで僕の部屋を教えない限り、あり得ないよね。女の客の部屋に行っても仕方ないんだから。

別に売春がどうとか言うつもりもないけど、

ワケわからん人たちが部屋の前まで来るのに、覗き窓もチェーンも無いのは怖いわ。

彼女らが万が一武器持った悪者だったら、どうするんだ- -;















●さわやかな朝~
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翌日は、雨も上がってすがすがしい朝~\(^0^)/

日本同様6時に起きてシャワー浴びてヒゲ沿って、7時にホテルのレストランバーに朝食とりにきた。

ホテルのフロントのおばちゃんとは変わらず挨拶したけど、昨日よりちょっと冷たくなった感じ。

やっぱり、あの子らとグルなのかしら?
















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目玉焼きが・・・3つ















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パンはモコモコした感じ。

日本のパンの方が明らかに美味しいと思うけれど、旅先で食べる朝食は美味しく感じるもの(*v.v)。。














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こういうのが朝食に出てくる感覚は、よく判らないねえ。















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レストランバーのメニューはやはり、全く読めない。

このレストランのスタッフも英語通じないので、何が得意料理なのかとか、

何が地元の名物なのかを質問した上で、食べたいものを頼む事は、僕には出来なかった。

まあ、そういう不便さこそ、旅の醍醐味という人もいるけどね~。

やはり、地元の美味しいものは食べたいよね~。



(つづく)