走行日:2014.05.11(日)
お天気:快晴
乗車:BROMPTON M6L
名古屋に住んでると伊勢や紀伊半島が近いからか、『伊勢参り』や『熊野詣』の歴史に興味がわきます。
鉄道も自動車も無い時代、日本全国の旅人たちはよくもまああんな辺鄙な場所を目指したものだ・・・。
でも、調べてみると、(当然ながら)その時代その時代で『便利』とされたであろう
何かしらの交通システムや社会インフラが旅人たちを支えている事がわかり、納得させられる事が多い。
伊勢神宮周辺のポタリングを考える為に地図を見て、沿岸部の地形が面白いのに気付きました。
まず、宮川の河口にある大きな三角州に目をひかれます。
次に、その右にあるこれまた【島状】の住宅地。
そしてその地形のすぐ近くに書かれている『宇治山田港』の文字。
今でこそ橋で陸続きになっている様ですが、昔は明らかに河口の島に港があったのでしょう。
長崎の『出島』の様な港町のイメージが浮かんでくるではありませんか。
『そういえば・・・』
お伊勢参りの移動は陸路が中心だったのは間違いないのですが、舟を使った伊勢参りがあったという
記載を見た事がありました。舟による伊勢参りの歴史を持つ港町かしら(・・)!!
調べてみると、現在『宇治山田港』と総称される地域には、かつて3つの港があった事がわかりました。
『大湊』(おおみなと)…造船、塩田関係で栄えた港町。室町時代は伊勢湾最大の港。
『神社』(かみやしろ)…東国地域からのお伊勢参拝客便乗り入れで賑わった港。
『河崎』(かわさき)…お伊勢参拝客向けの各種物資(飲料・食糧・その他)の積み降ろし港。
・・・やはり伊勢神宮に関係が深い港の様で、興味深いです。
しかも、この3つの港町、今でも昔の建物がよく残っているらしいとわかり、ますます興味深い。
舟による伊勢参りがどんなものだったかも知りたいし、行ってみるしかないです。
と、いうわけで、今回は『川運』『港町』に注目したお伊勢参りポタリングに出発です(^0^)/
●近鉄名古屋駅
名古屋から伊勢までの輪行で一番おススメなのは『近鉄』です。
JRも並行して走っていますが、折り畳んでいる自転車を駅構内で転がす事が禁じられている為、
使い勝手は近鉄と比較して圧倒的に劣悪と言えます。(所要時間は大差ありません)
そして、近鉄の中でのおススメの電車は『急行電車』です。
これの宇治山田行きや五十鈴川行き、鳥羽行きなどを使えば、
下車する「伊勢市駅」まで乗り換えなしで1時間40分程度の快適な旅となります。
近鉄名古屋駅は始発駅なので列の先頭に並んでいれば100%座れます。そうじゃないと座れないかも。
おススメの席は、ドア(どこでもよい)を入り、進行方向へ1列進んだ席。
この席なら、自分のイスとドア前の仕切り板の間に出来る空間に自転車を収納しておけるので、
他のお客の邪魔になる心配も、自転車が倒れたりする心配もなく、快適な乗車が保証されます。
運賃は1450円と格安です。
特急を使い、より旅行気分を愉しむのもOKです。
料金片道は1300円ほど高くなりますが、乗り心地は格段に向上します。
また、目的地に20分ほど早く到着出来ます。
●木曽三川を越えて
20分ほど揺られるうちに、電車は木曽川・長良川・揖斐川という東海地方の大河群を立て続けに越え、
三重県に入ります。
この先、桑名を過ぎ、四日市の近代的なコンビナート群を過ぎると、長閑な風景が車窓に広がります。
●宮川
津や松阪を越えてしばらく、宮川を渡ると、エリア的にはもう『伊勢』です。
伊勢市下車直前。
さっきまでBROMPTONは、背後の『仕切り板』の向こう側のスペースに納めていました。
乗客はさほど多くありません。
もっとも、この日僕は珍しく寝坊して、予定より3時間ほど遅い到着(11:00頃)となっています。
予定通りの8:00台なら、もっと混んでいたかもしれません。
伊勢市駅では外宮(げくう)と反対側の方に降ります。
門前町として繁栄している外宮側と異なり、びっくりするほど簡素な田舎の駅舎の状況
駅前でのんびりBROMPTONを組み立てていると、駅前のお店のおばちゃんに声をかけられました。
今日は外宮の前で『伊勢楽市』(らくいち)という催しをやっていて、
伊勢名物の出店が何でも出ているらしいです。
これはいい情報。お昼ご飯は外宮付近で伊勢の名物を食べましょう
駅前を出発し、『普通の町並み』の中を抜けて、川べりに発達した港町の方を目指します。
すると・・・
●河崎商店街
おお
なんだ、この『NHK連続テレビ小説』がかった時代的な商店街は!?
いつの時代のものか判らない商品がシャッターの前に置かれている店も。
商品価値がある様には思えないけれど、これだけガッチリ大量に店の前にあるという事は、
案外、平日は営業していて、日曜日の今日やお休みしているだけかも・・・?
あまりの珍しさに看板やら天井の梁やらパシャパシャ撮っていると、奥の方から人が出てきました。
正体不明のおじさん:「なんだ、兄ちゃん。学生さんかい?」
KOU:(まさか。でも、ちょっと嬉しい)「いや、社会人です」
正体不明のおじさん:「ああ、そうかい。この前、神戸から建築学科の学生さんが訪ねてきて、
色々調べていきよったもんでな」
KOU:「そうですか。僕はチャリであちこちを旅するのが趣味なのですが、割と古い建物とかが好きで
写真撮ったりして回ってるんです」
・・・ハナシを訊くと、おじさんはこの商店街の現在唯一の商店主(花屋さん)だったそうです。
『だった』というのは、最近、商店街の最前列にパン屋さんがOPENしたとの事。(商店が増えた^0^)
花屋のおじさんはとても親切な人で、商店街の中を案内して色々教えてくれました。
おどろいた事に、商店街の多くの建物は、アーケードがかかっている店舗側の方こそ
かろうじて往時の表情を保っているものの、裏側に入ると崩壊している建物が目立って、
まるでドラマのロケのセットみたいになっていました。
花屋のおじさん:「神戸の学生さんも、あんたと同じ事言っていたわぁ」
おじさんによると、商店街の歴史は古く、アーケードがかかったのは5~60年前じゃないかなあとの事。
昔はこの狭い通りにワゴンを並べて大売り出しをするくらい賑わっていたとの事。
それが花屋さんだけになってから30年以上は経ったかなあという事でした。
組合も消滅して、アーケードの修繕も自分のところだけやって・・・などして
商店街の維持に努めてきたようですが、数年前の台風で奥にあった下宿屋跡は倒壊。
そこはエアポケットになっていたりします。
これから訪ねる河崎港は江戸~大正時代頃までに栄えた港町ですが、
その後、昭和から現代の時代にかけての時代の移り変わりを意外なところで感じる出会いでした。
●河崎
古い港町『河崎』エリアに近づくと、古い建物が目立ってきます。
こちらは『星出館』という旅館。現役です。
※星出館HPがありました。コチラ
風情がありそうで、宿泊料金はかなりリーズナブル。
伊勢神宮周辺をポタリングする時、こういうお宿に泊まってみるのも乙なものかも知れません。
河崎の中心部に入ると、予想以上に古い建物が残っていて、期待感が高まってきました。
道に迷いました(笑)
なになに、右は宮川道、左は二見街道・・・海沿いの二見街道方面に向かいましょう^0^
ちょっと小休止したくなるお店が多い感じ。
まだ、来たばかりなので休みませんが。
少しすると、古い建物が立ち並ぶ川の通りに出ました。
これが『勢田川』の様です。
事前の調べでは、この川沿いに古い街が800mほど続いている筈。
『大したことないのでは・・・』と思って来たKOUでしたが、
この先、想像を超えた素敵な川港の風情が残っているのでした・・・!
(つづく)
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